【エルデンリングDLC】褪せ人の相棒 霊馬トレントについて【考察】

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当記事では『エルデンリングDLC』のネタバレがあります! ご注意ください!

↑ゲーム考察チャンネルを始めました。記事をもとにエルデンリングの考察をやっています。

↑当記事の動画なのだ。

オデ、イエティ。
今回は『エルデンリングDLC』の考察をしていきます。

お題は『霊馬トレント』について。

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目次

霊馬トレントとは

広大な狭間の地を駆け回り、エルデの王を目指す褪せ人。そんな褪せ人の相棒として一呼びで馳せ参じ、乗り物となって移動を助けてくれるのが霊馬トレントである。


大量の武器、謎のアイテムを積んでも平気で走り回る頑強さ。そして俊足を誇り、褪せ人にはできない二段ジャンプで
探索を便利にしてくれるそんなトレントを、しかし残念ながら主である我々、褪せ人はよく知らない。今回は少ない情報から霊馬トレントがどういう存在なのかということについて掘り下げてみようと思う。

トレントは「霊馬の指笛」という指輪を用いて召喚できる。実体はありダメージを受けることで死亡もするが、緋雫の聖杯瓶を使用することで復活する。霊馬と呼ばれている通り、明確な実体がなく普通の動物のような形で死亡することのない存在ということだろう。

トレントは芦毛の馬のような見た目をしており、特徴的なのは角が生えている点。普通生えないはずの生物に生えた角は、「坩堝の諸相」であるとされている。

坩堝の諸相というのは、生命が混然一体となっていた時代の名残のこと。生物の身体に、部分的な先祖返りが起きることを指している。様々な坩堝の諸相の中でも、角というのは霊性の高いしるしとされ、祖霊や角人の文化の中では神聖視されている。

実際に狭間の地・影の地には角の生えた動物の姿が多数見られる。

トレントに生えている角も恐らくはそうした諸相であり、高い霊性を持つことで霊馬となった存在と考えられる。またどういった理由なのか二段ジャンプができるトレント。この二段ジャンプの挙動は、ボスである祖霊の王に似ている。
祖霊の王もまた、霊性の高い存在。二段ジャンプは霊性の高い生物の証なのかもしれない。

トレントのおやつ レーズン

そんな風に霊馬であるという特徴性を持つトレントだが、食事の際にはふつうに物理的なエサを食べる。今回はこのトレントの餌、レーズンについても紹介する。

トレントのHPは緋雫の聖杯瓶を使用することで回復するため、トレントの回復専用アイテムの影は薄い。しかしレーズンを使用するとトレントに手ずからエサを与えられ、数少ない触れあいが可能となっている。

ゲーム開始時点から入手できるロアの実は、狭間の地の各地に生えている低木から採取できる。このロアの実を干して乾燥させたものがロア・レーズン。


トレントはロアの実をそのまま食べるわけではなく、干してロア・レーズンとして食べる。このロア・レーズン、褪せ人……というか人は食べても消化しきれないものとなっている。ロアの実は馬を連れているカイデン兵からドロップするため、トレントだけでなく一般的な馬もロア・レーズンをエサとして食べているようだ。

ちなみに落下ダメージを下げる効果を持つふんわり綿は、ロアの実を弾けさせたもの。ポップコーンのようなイメージで作られるのだろうか。ロアの実が弾けることでふんわり綿になると考えると、人が消火できないのも頷ける。しかしロアの実自体は干し肉や干し肝の素材になるので、その汁は液として使えるようだ。あくまで人が食べても消化できない、というのが問題なのだろう。

狭間の各地に生えているロアだが、その原種は巨人たちの山嶺に生えていたもの。寒冷な高地でも育つ、強い種だという。また黄金のロアによれば、黄金樹に近い土地に生えているロアには黄金の祝福がもたらされている。ロアに掛かった黄金は蜜のように甘いとされる。


トレントは嬉しそうだが……祝福を体に取り入れることへの言及は特にない。トレントはこの三種類のロア・レーズンをおやつとして食し、嬉しそうにしている。そしてDLCによってトレントの新たなおやつが実装されることになった。

それがスピリット・レーズンである。スピリット・レーズンはラダの実を材料としており、ロアの実ではない。しかしこちらも人の食用には適さないという。スピリット・レーズンは本来、霊性を高めるとされる苦薬とされる。

これは角人の修験者が土地神を目指すために霊性を上げるという修行を積むことから、修験者たちが食していた可能性が高い。スピリット・レーズンには特殊な効果があり、トレントに与えると走る際に衝撃波が出るようになる。衝撃波とそのダメージは微量なものだが、敵を軽くノックバックさせることができる。

スピリット・レーズン使用時にはトレントが白いオーラを纏っている。このエフェクトは霊性が高まっていることを示しているのだろう。

正直に言うとこれらのトレント用アイテムは、なかなか日の目を見る機会が少ない。しかし降りるとすぐに消えてしまうトレントと、褪せ人の数少ない触れあいの機会なのでたまにはレーズンをあげて、トレントを労ってあげるといいかもしれない。

霊を溶かす狂い火

さて、DLCにはスピリット・レーズン以外にもトレントの意思を感じるシーンがある。数少ないトレントの掘り下げなので無視できない要素だ。当然、こちらについても考察していく。

影の地の奈落の森エリアでは、霊馬の指笛を使用してもトレントを呼び出すことができない。「霊馬が怯えていて、呼び出すことができない。」というメッセージが表示され、トレントに乗ることが不可能となる。屋内ならともかくとして開けたエリアで呼び出せないのは珍しく、かなりの唐突感がある。どうしてこんな場所に置き去りにされるの…?


と、トレントを責めたくなった褪せ人もいるのではないだろうか。このトレント呼び出し不能は、メタ的に考えれば
触れ得ざる翁というエネミーを回避させないための措置だろう。

画像引用元:エルデンリング公式 様 スクリーンショット

奈落の森の一部では触れ得ざる翁というエネミーの目を避けながら進まないといけなくなっている。トレントに乗ってダッシュできてしまうと、触れ得ざる翁を回避できてしまうだろうから、ギミックを守るためにトレントを召喚できないようになっていると考えられる。


しかし実は納得のできる背景設定が存在することを諸賢はご存じだろうか。トレントが何に怯えているのかは特に語られていないが、奈落の森の背景から考えれば想像はつく。

奈落の森は狂い火に侵されている。狂い火は狭間・影の地ともに忌避される病であり、その炎は霊を焼き溶かしてしまうと語られている。例えば影の地には霊墓と呼ばれる、実体のない墓が各地に見られるが、奈落の森には霊墓が存在しない。その代わりに霊墓を燃やしたアイテムが存在している。

イラストからは霊墓が焼け、溶けていく様が見て取れる。トレントは霊をも溶かす狂い火が蔓延する、奈落の森に怯えているのだ。褪せ人の操作ミスで谷底に落ちて死亡しても、平気で復活するトレント。そんなトレントが奈落の森では頑として出てこないことは、ちゃんと設定上納得できる理由があるということである。

さらにこの設定は本編において示唆されている。本編のエンディングの一つ、狂い火の王において。褪せ人はメリナの代わりに黄金樹を燃やす種火となり、エルデの獣を倒した後は全てを焼き溶かす狂い火の王となる。

この際、褪せ人がいた場所にトレントを呼び出すための霊馬の指笛が落ちており、メリナが拾い上げている。しかし、その手の中で指輪は焼き溶けていってしまう。狂い火は霊馬の指笛を焼き溶かし、トレントの存在を消してしまう。ある意味では奈落の森の伏線が張られていたと言えるかもしれない。

しかし重要なのはトレントは狂い火の王エンドにおいて、焼き溶けることを知りながら最後まで褪せ人に尽くしたことだ。トレントは自らの意思で召喚に応じないという選択肢を取れることがDLCにおいて判明した。しかし本編では褪せ人が狂い火を受領しても変わらず仕え、元々トレントを連れていたメリナと袂を分かってでも、褪せ人のサポートに徹している。

もちろんメタ的に言えば、どんなストーリーだろうとトレントを消す、という展開はゲームとしては取れない措置だろう。トレントがいなくなれば探索は不便になり、ゲームが立ち行かなくなるのは明らかだ。

それでも、狂い火が霊を溶かすという設定がある以上は、狂い火の王エンドにおいて、トレントは自らの存在の消滅を覚悟していたということになる。この事で改めて、トレントの揺るぎない忠誠に胸を打たれる褪せ人も多いのではないだろうか。

トレントの元の主とは

さて、ここからはトレントの来歴について考察していく。トレントについての情報は、トレントとそれを連れている
メリナと出会うゲーム序盤に固まっている。逆に言えばそれ以降は、トレントに関する言及は減っていく。まずは褪せ人にトレントを託すメリナについて。

メリナとトレントは褪せ人が初めて死亡した際のムービーシーンで登場し、後に祝福で再会する。メリナは褪せ人に取引を持ち掛ける。自力では動けないメリナを黄金樹の麓まで連れていくこと。その代わりに、メリナは褪せ人にルーンを力に変える能力を与える。


しかしトレントについては実のところ取引の材料ではなく、トレントが自主的に褪せ人を選んだという。また、メリナが褪せ人を試していた最初期もトレントだけは褪せ人を信じていたらしい。つまり褪せ人とメリナが出会い、旅をするに至ったのはトレントが褪せ人を選んだからとも言える。

次に魔女レナという偽名を名乗って褪せ人の前に現れたラニ。ラニは霊馬を駆る褪せ人がいると聞き、
用事があって褪せ人に会いに来たという。ラニは「トレントの古い主が、私に託したものだ」という言葉と共に、
遺灰を召喚するための霊喚びの鈴とはぐれ狼の遺灰を渡す。


ラニの言葉からはトレントに古い主がいること、そしてその主からトレントの現在の主へ霊喚びの鈴を渡すため、ラニが預かっていたことがわかる。

画像引用元:エルデンリング公式 様 スクリーンショット


そして第三の情報がDLC発表に付随して公開された、キービジュアルだ。この一枚の絵には墓地平原を渡る、金の長髪をなびかせる人物、そして我らが愛馬トレントが映っている。


この人物が誰なのか? という点については明らかにされてはいないが、公式ページを見るにミケラだろう。DLCあらすじでミケラが影の地に渡ったことが記された背景にもなっているため、間違いないと思われる。この人物はミケラで、トレントの主はミケラであると素直に考えるのが良いだろう。

ミケラは影の地に自らの持つ体や半身などを、次々に棄てながらある地点を目指している。その様子をイメージしたコンセプトアートと考えれば、実際にミケラがトレントに乗って影の地を駆け回ったかは、あまり重要ではないと考えられる。


トレントの古い主がミケラだと考えれば、本編中でトレントを知っているメリナ、ラニの両者との関連性も見えてくる。メリナとラニ、そしてミケラ。この三人は全員がデミゴッドである。霊馬の指笛はミケラからメリナへ。霊喚びの鈴はミケラからラニへ託されていたのだろう。

また重要な点として霊馬の指笛は「柔らかな金の指輪」である。

レダのルーンには「ミケラが贈った柔らかい黄金である」という記述があり、柔らかなという言葉が共通している。
柔らかな金というのは無垢金という言葉で語られる、ミケラのモチーフで間違いない。

ではなぜミケラは褪せ人へトレント、そして霊喚びの鈴を託したかったのか。ミケラは約束の王、ラダーン戦において褪せ人と敵対し、褪せ人を旧律の王と呼んでいる。その褪せ人を何故ミケラが支援する必要があるのか。これについても同時にDLCで経緯が語られているように思える。

ミケラの目的は約束の王であるラダーンを呼び戻し、自らが神となって再誕すること。そのため、約束の王ラダーンを呼び戻すためには二つの条件が必要となる。第一に将軍ラダーンが死ぬこと。本編開始時点でのラダーンは正気を失い、ケイリッドの砂丘をさ迷っている。ラダーンは戦祭りによって呼び寄せられた精鋭、そして褪せ人によって倒されることで葬られる。

第二に血の君主モーグの死と、その遺体の回収。モーグに純血騎士として仕えていたアンスバッハによって、ミケラの真意が明かされる。ミケラはモーグを魅了していた。そしてそのモーグを褪せ人が打ち破った後は、その死体をひっそりと回収していたのである。モーグの肉体は約束の王ラダーンの依り代として再利用される。恐らくはミケラがかつてモーグによって連れ去られたのも、この謀略の一環なのだろう。

約束の王ラダーンの再誕には、ラダーンとモーグ、二人の強大なるデミゴッドの死が必要だ。しかし本編開始時点では当然ながら、この二人を葬り去るほどの実力を持つ者は存在しない。故に力を持つ褪せ人が現れた際に、いつか二人を
葬れるだけの力を持てるよう。最初からミケラは支援することを決めていた。

霊馬の指笛と霊喚びの鈴はその証である。褪せ人は旧律の王たる存在。つまりは黄金律の王になるべく、旅をしてデミゴッドを葬る役目があった。しかしミケラの律とは相容れないため、最終的には褪せ人を殺すか、魅了する必要がある。それがDLC最後の戦いだ。ミケラは全て織り込み済みで、いつか来たる旧律の王を支援していたのだろう。

まさに神の知恵、怖ろしいと言う他にない。とはいえ。あくまで出会う切っ掛けがミケラの計略だっただけに過ぎず、トレントが真の相棒であることに変わりはない。野を越え山を越え、褪せ人の軽率な落下で命を落としてもトレントはついてきてくれる。

それだけの作中屈指の働きをしているにも関わらず、なかなか顧みられることのないのが口惜しいところ。たまにはレーズンをこしらえ、旅の相棒を労ってみるのも良いのではないだろうか。

というわけで今回はここまで。おつかれさまでした。

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