当記事では『エルデンリングDLC』のネタバレがあります! ご注意ください!
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オデ、イエティ。
今回は『エルデンリングDLC』の考察をしていきます。




お題は『落ちる鷹の兵団』について。



落ちる鷹の兵団とは



エルデンリングの舞台、狭間の地。その地下には黄金樹時代より遥か昔に滅びた、永遠の都の文明が眠っている。



落ちる鷹の兵団は、かつて地上より永遠の都に派遣された。そして、戻ることはなかった。今回はあまり語られていなそうな、落ちる鷹の兵団について掘り下げていく。
落ちる鷹の兵団が現れるのは永遠の都ノクローンや水道橋。彼らは青白く、酷くやせこけた人型の姿を持っている。
彼らが何者なのかは、その装備や遺灰などに記されている。逆さ鷹のカイトシールドにはこうある。



逆さ鷹は、永遠の都の探索を命じられた
奴隷の兵団の紋章である。
つまり彼らは永遠の都に属しておらず、地上から送られた調査兵団だ。彼らの紋章は逆さ鷹。それが「落ちる鷹」という由来である。



鷹はかつてのストームヴィルの紋章である。ストームヴィルに鷹紋があった時代はまだ黄金樹とは別の勢力として独立していた時代なので、落ちる鷹の兵団は、かつてのストームヴィルの者たちだったか、あるいは黄金樹勢力によってストームヴィルが支配された後に送られた者たちなのだろう。
永遠の都は地下に位置しており、地下へ地下へと降りていく必要があった。だから落ちる鷹が彼らの紋章なのだろう。
彼らは奴隷の兵団であり、つまり捨て駒として送られていることがわかる。彼らが虐げられている理由は、やはりその体格だろうか。



彼らは小さく、小姓や卑屈などと同じような身分の低い存在だったと考えられる。彼らがストームヴィルの奴隷だったとすれば黄金樹の差別とはまた別ということになるが、どの時代、どの勢力でもそうした差別は変わりないのかもしれない。



彼らの装備には違いがあり、盾兵は丸い兜を付けている。兜のない者の頭部には等間隔で空いた丸い傷があり、もしかしたら兜を埋め込むような形で固定されていたのかもしれない。



彼らは兵団であり、剣士や盾兵、その後ろから攻撃を行う弓兵と、連携の取れた攻撃を仕掛けてくる。しかし稚拙とも書かれていて、戦術に秀でてはいなそうだ。



大盾兵はその体を隠すほどの、巨大な盾を構えている。この逆さ鷹のタワーシールドは全体にまんべんなく傷がついており、彼らの体をしっかり隠して防いでいた、という証左となっている。
かなり数の多い落ちる鷹たちだが、しかし彼らの探求は過去のものとして語られている。かつて永遠の都を探索した、落ちる鷹の兵団。つまり彼らの探求は終わっている。そこについても掘り下げよう。
落ちる鷹の兵団はなぜ地上へ戻らなかったのか?
なぜ彼らが地上に戻ることはなかったのか。それは霊火のトーチにて語られている。



冷たい霊火を燃やす、金属製の松明。
地下河を彷徨う、落ちる鷹の兵団の兵装。
探求の果て、火種を失くした兵団は、
仲間の骨を燃やし、冷たい霊火を手に入れた。
そして彼らは、永遠の地下の住人となった。
落ちる鷹の兵団は一般的な火種を持って、暗い地下を探索していたと考えられる。しかしやがて火種が尽き、彼らは
仲間の骨を燃やして火種の代わりとすることを考えた。そしてトーチに霊火を灯し、永遠の地下の住人となった。



霊火のトーチには頭蓋骨が入っており、それが燃えることで霊火が発生しているのが分かる。……しかし疑問がある。なぜ、仲間の骨を燃やすと永遠の地下の住人となるのか。
まず、この霊火というのは霊炎のことであると考えられる。エルデンリングにおいては冷気属性を伴う炎というものがあり、「霊炎」と呼ばれている。
霊炎は死儀礼の鳥や霊炎竜、あるいは泥濘の騎士などが用いている。
まだ黄金樹無き頃、死は霊炎に焼かれた。
死の鳥は、その火守りなのだ。
古い時代、死は霊炎に焼かれた。
穢れた死肉、そのなれの果てであろうとも。
かつて、死は等しくあったのだろう。
これらのテキストから、霊炎が死に焼かれたのは古い時代のことであり、黄金樹が生まれたことで死が
霊炎に焼かれることはなくなった、と解釈できる。



黄金律は死を否定している。黄金律下での死というのは、黄金樹の麓へ還るという、還樹のみ。それ以外の死の形というものを黄金樹は認めていない。つまり仲間の骨を燃やして探索する、という点が倫理的なタブーを侵しているという点ではなく。現在の世界の理に背く行為だからこそ、彼らは地上に戻れなくなったと考えられる。
あるいは、ただ骨を燃やすだけでは霊火を灯すことはできず、彼らが何かしらの一線を越え、永遠の地下の住人となったからこそ、霊火を灯せたのだとも考えられる。永遠の地下の住人、という言葉は永遠の都の住人と、永遠に地下の住人となったという、二つの意味を掛けているのだろう。



ギリシャ神話におけるベルセポネの冥界下りにおいては、冥界の柘榴を食べたベルセポネは冥界に一部的に留まらなければならなくなった。



日本神話においても黄泉の国に行ったイザナミが、黄泉の国の食べ物を食べたがゆえに戻れなくなった、という話が存在する。黄泉の国の食べ物を食べると黄泉の国の住人となる。これを黄泉戸喫という。落ちる鷹が永遠の都の住人となったことも、こうした伝承をモチーフとしているのかもしれない。



かつての旧文明を探求するため送られた、奴隷の兵団。彼らは落ちる鷹となり地下へもぐり、霊火を灯したことで地下の住人となった。彼らは今も、何かを探しながら彷徨っているのである。
というわけで今回はここまで。おつかれさまでした。








