当記事では『エルデンリング』のネタバレがあります! ご注意ください!
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オデ、イエティ。
今回は『エルデンリング』の考察をしていきます。




お題は『密使』について。
素性:密使とは



プレイヤーがゲームを始める際、素性の一つとして選択できる密使。彼らは隠密行動に優れた教会の密使、とされている。今回は、その素性に相応しい存在感の薄さからあまり語られることのない、密使とその由来について掘り下げていく。
まず、密使という言葉は秘密の使命を持って、ひそかに派遣される使者や使節を指す言葉である。素性としての密使はつまり、使命を持って狭間の地へやってきた褪せ人ということだ。その使命と密使が属する勢力については、密使シリーズの防具にて語られている。



闇に溶け込む黒のフード。
教会の密使の装備。
狭間の外、二本指の教えを伝える教会は、
密使たちを祝福の導きに送り出す。
決して二本指を裏切らぬ僕として。
そして、その敵を密かに狩る刃として。
狭間の外には二本指の教えを伝える教会があり、密使はそこから送られてきた。



密使の衣装には、絡まった二本指と剣を象ったマークのようなものが見られる。これは密使の印、あるいは教会の印だと考えられる。
密使の初期装備はブロードソードと、二本指の聖印と祈祷。マークの通り、二本指の剣であるという表れだろうか。
褪せ人は基本的に二本指の導きによって、狭間を訪れている。二本指の教えを伝える教会に所属している、というのは褪せ人としては真っ当な来歴と言えるだろう。
しかし不穏な一文もあり、それが「その敵を密かに狩る刃として」の部分。この敵とは、何を指しているのか考えてみよう。



前提として、褪せ人は狭間の全てと敵対し、エルデの王を目指す者である。



導きの先では、あらゆる者が敵となる。
僧兵も、魔術師も、
古竜の騎士も、黄金の末裔も。
覚えておけ。
狭間は、褪せ人を歓迎していない。
つまり褪せ人が狭間の者と敵対するのは当然であり、密使の本当の敵というのは、密かに、内々に狩らなければならない敵。つまり身内である褪せ人を指している。



円卓の暗部



祈祷、暗部の歩法にはこう記されている。
かつて円卓の暗部として、二本指に仕えた者たちの祈祷。
導きを外れた、褪せ人たちの始末屋。それが暗部の任であった。



褪せ人を導く二本指を中心とし、狭間での活動を支援する組合、円卓。しかしその円卓には暗部と呼ばれる
影の勢力があった。暗部は同胞である褪せ人を狩る、二本指の忠実な僕である。
同胞狩りという点に関しては、冒涜の背律を掲げる火山館などと同様である。後ろ暗い行いだからこそ、彼らはあくまで暗部。陰に潜み、同胞を狩る刃だった。ではなぜ、円卓に暗部は生まれたのか。その背景も語られている。
暗部とは、導きを見失った褪せ人であった。
祝福なき暗闇で、彼らは使命を求めたのだ。



褪せ人は祝福の導きを与えられ、狭間の地を訪れる。祝福の導きとは褪せ人を誘う、祝福の光の道筋のこと。しかし褪せ人の中でも導きを見える者は減ってきているという。
円卓の暗部は導きの見えない褪せ人が、円卓に認められるため。あるいは信仰を守るための、寄る辺だったのだろう。
官吏の装束の一文は、エルデンリングにおける多くの悲劇を端的に表している。



監視、処刑、陰惨な儀式。
だが人は、暗い役目にこそ依存する。
暗部もまた、暗い役目を使命として負うことを自らの救いとしていた。



立場として似ている密使と暗部。この二つは同一であることも明らかになっている。円卓の部屋で入手できる武器、
クレプスの黒鍵にはこう記されている。
円卓の暗部として二本指に仕えた
密使の長、クレプスの得物であった。
密使の長クレプスは、円卓の暗部に仕えていた。つまり密使という素性、その立場はクレプスから始まったのだろう。
二本指の言葉を伝える教会。そこから狭間へと送られる密使は、円卓の暗部をルーツとして生まれた、暗殺者だった。



クレプス本人は登場しないが、密使としては暮れなずむライリーというNPCが登場する。火山館のイベントで標的となる褪せ人、暮れなずむライリー。彼の身に着けた装備は密使シリーズであり、武器はクレプスの黒鍵。彼自身について語るテキストがないため、ライリーの掘り下げはほぼない。しかし持っている武器や装備から、彼は円卓の暗部、密使だったのだろう。



ちなみに彼は蠍の針という、朱い腐敗を宿した武器を使用しているが、クレプスの黒鍵で用いられるボルト、黒鍵の杭も朱い腐敗が付与されている。朱い腐敗の元、腐敗の神は二本指の信仰とは反する存在のはずだが、そうした背景よりも、暗殺の成功率を取ったということなのだろうか。
クレプスやライリーを筆頭とする、密使の敵は導きを外れた褪せ人。血の君主モーグに仕える血の指や、あるいは火山館の背律者たち。そして二本指の導きから外れ、黄金樹を焼かんとするプレイヤーその人……。



なのだが、実のところ密使がプレイヤーの前に立ちふさがることはほぼない。密使と戦うのはライリーの一度のみ、
しかもプレイヤーは背律者としての立場である。プレイヤーの立場上、円卓の暗部である密使とは因縁があってもおかしくないのだが、ストーリー上、その立ち位置は百智卿ギデオン=オーフニールが担っているのだった。



導きを外れた褪せ人を狩る、導きを失くした褪せ人。その暗部が狭間の外から送り出した、密使。なかなかドラマを感じる背景を持っている。
しかし暗部は、ストーリーにおいて暗がりから姿を現すことはなく。それ故にちょっと影が薄いのであった。というわけで今回はここまで。おつかれさまでした。


